利「見つけた。
サボりとは悪い子ですねぇ。」


(校庭の掃き掃除が一段落し、木陰で休んでいると、どこからか利吉が現れた)


利「お疲れさまです。
今日は事務の方でしたか。
小松田くんの相手は心を削るでしょう?
酷い?はは、すみません。


たまにはこうやって休憩を挟まないと。
あなたは真面目だから根を詰めすぎてしまうところがあるようですから。

え?
そりゃわかりますよ。私がどれだけあなたを見てると思ってるんですか?

毎日のように会えるわけではないし、時には長く会えない期間だってある。もしかしたら、これが最後になるかも知れない。

…忍者の仕事とはそういうものです。
だから私は、ひとつひとつの機会を大事にしたい。
これが最後だとしても、後悔のないように生きたいんです。いつでも思い出せるように、あなたの姿を目に焼き付けておきたい。


わかりますか?
いい加減、こうして顔を見るだけでは満足出来ないってことですよ。

その手を握りたいし、唇にだって触れてみたい。
まだ誰も踏み込んだことのない、あなたの内面に最初に触れるのが私であってほしい。

わがままですか?何とでも。


学園内はなかなか油断できませんからね。今は…これで。」


(木の下に座るあなたの上に影がかかったかと思うと、視界が暗くなり、唇に柔らかいものが触れた)
(驚いて頭を引こうとするが、すぐ後ろに木があるためこれ以上下がれない)
(動くこともできず固まっていると、ぬるりと熱いものが唇をなぞり、ちゅっと音をたててやっと解放された)


利「…頂いちゃいました。
覚えておいてくださいね。私があなたをこういう目で見てるって。

では、名残惜しいですが私はこの後仕事が入っているので、これで。

もう我慢しませんよ?」


(情報が処理しきれず放心するあなたの髪をさらりと撫でて、利吉は去っていった)
サボる