利「………。」
(ちゅっ)
(利吉と話している最中、どこからか呼ばれたような気がして少し彼から目を離した)
(気のせいだとわかり目線を戻そうとすると、手を握られた感覚があり、手の甲に柔らかいものが触れた)
利「やっとこっちを向いてくれましたね。
すみません、あなたが私を見ていないのがなんとなく気にいらなくて。
今あなたの目の前にいるのは私ですよ。よそ見しないでください?」
(もう片方の手もすくい上げて、両手でぎゅっと握られた)
(あたたかい利吉の手は、少しカサついていて、肉刺が出来ては潰れた痕がたくさん残っていた)
(この手がクナイを握り、火縄銃を扱って、鳥の子を投げている)
(戦う忍者の手だ)
……働き者の立派な手ですね。痛みませんか