半「こんにちは、くないさん。


…そうそう。昨日用事があって外に出ていたんですが、不思議な子に出会ったんですよ。

見慣れない形の橙色の服を着た男の子でした。
走ってきたその子とぶつかってしまったので、怪我がないかと声をかけたら、私のことを『イルカ先生』と呼んだんです。

人違いだと訂正しても、頻りにそう呼ぶものですから困って、どこか落ち着いて話せそうな場所はないかと周囲を見回している間に、気がついたらその子はいなくなっていました。
ついさっきまでそこにいたのに、ぱっといきなり消えたみたいに…

そしたら私、何故だか涙が止まらなくなってしまって…
その男の子に見覚えはないし、『イルカ先生』という知り合いも全く心当たりがないのに、なんだか放っておけなかったんです。
私の中の深いところにある何かが、その子をよく知っているような気がしました。

その子を見たとき、姿形は全く似ていないのに、一瞬きり丸かと思ったんです。
『イルカ先生』という人にとっても、きっと彼はそんな存在なんでしょう。


…また、会えたらいいなぁ。」
だってばよ