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≪凛音は何かに見惚れていてこちらの言葉を認識出来ていない。
まるで大気に象嵌されたかのように、指先の一つも、目蓋も、下手をすれば心臓すら動きを止めてただ一点に意識を向けていた≫

≪一体、そこに何があるだろうか?
疑問に感じて同じ場所へ視線を向けた瞬間、自身もまた全てを忘我してその男に意識を奪われてしまう。
湖面に映る満月も、この男の前では己の痘痕顔を恥じて逃げてしまうだろう。
美しいという言葉すら失礼にあたる。いや、失礼で終わるものではない。彼を美しいなどと表現すれば、それは酷く罵倒するのと同義であり、首を刎ねられても文句は言えない。だが、この世界で使われている言葉に彼を表現出来るものなど存在せず、世界が終焉を迎えるまで生まれもしないだろう。
故に、ただ美しいとしか評せない男がそこにいた。
許されるのなら、いつまでも見ていたい。そう感じてしまったのも束の間、男は黒い馬を駆けさせてどこかへ去ってしまう。
しかし、その後も凛音と己は暫し我に返る事が出来ず、そのまま瞬きの一つもせつに男の残り香を眺め続けるのであった……≫
D(RA)
幼稚園児がT. T使用可能になるまでとか凄いというかヤバイ