「燈矢兄?さっきからため息ついてるけど大丈夫?」

え…


「ふ、冬美ちゃん…」

心配そうな顔で俺に話しかけてきたのは冬美ちゃん。
……○○ちゃんの事は伏せてそれとなく聞いてみようかな…1人で考えるより同じ女の子の冬美ちゃんに聞いてみた方がいいかも…

○○ちゃんの事は家族の誰にも話してない。
話したらきっと冬美ちゃんは会いたいって言うはずだし、会ったらすぐに冬美ちゃんと夏くんも○○ちゃんの事大好きになって仲良くなってしまうだろう。


俺はそれがなんとなく嫌だった。
冬美ちゃんも夏くんも大好きだけど…
まだ、○○ちゃんの事は知られたくない。○○ちゃんの事は俺だけが知ってればいい。○○ちゃんは俺の事だけ見てればいいんだ……


それにもし…もし○○ちゃんと焦凍が知り合って仲良くなったら……


死ぬほど嫌だ。考えるだけで吐きそうになる。許せない。そんなの見たら俺はまたあの時みたいに焦凍の事を──



「燈矢兄!」

「あ…ご、ごめんちょっと考え事してた…」

いけない、つい1人で考え込んでしまった…

「あのさ冬美ちゃん…冬美ちゃんは友達からのバレンタインデーのお返しって何が欲しい?
ホワイトデーに貰ったら嬉しいものって何?」

「え?ホワイトデーに貰ったら嬉しいもの?
うーん…

うん!?
ちょっと待って燈矢兄!なんで急にそんな事聞くの!?も、もしかして燈矢兄ようやくお友達が…!」

俺に友達が出来たかもと思った冬美ちゃんは目をキラキラさせてる。
ま、まずい…!


「は!?いや、違うから!友達なんていねえしいらない!た、ただ気になっただけ!変な勘違いやめろ冬美ちゃん!」

「えー…そうなの?」

「そ、そうだよ!
…それで……ホワイトデーに貰って嬉しいもの、ある?」

……うーん…そうだなぁ…燈矢兄から貰えるならなんでも嬉しいんじゃないかな?燈矢兄が自分の為に用意したものならきっと喜んでくれるよ!」

「俺が用意したもの…
……冬美ちゃん、なんか俺が渡す友達がいる程で話してない?」

「や、やだなー!そんなんじゃないよ!
あ!そういえば燈矢兄知ってた?
ホワイトデーのお返しって色んな意味が込められているんだよ!」

「ホワイトデーのお返しに意味?
へえ…そんなのあるんだな…」

「うん!
あのね、マシュマロはあなたが嫌いっていう意味があって…」

「え!?そんな意味があるのか!?
うわー危ねえマシュマロ渡すところだった…」

「(燈矢兄声に出しちゃってるけど隠す気あるのかな…)」