『緊張してたけどちょっとほぐれたよ…』

「緊張?
○○ちゃんなんか緊張してたの?」

『うん…
私ね、初めてバレンタインのチョコ作ったんだ…
でもいざ渡そうとしたらなんか緊張しちゃって…』

「バレンタインチョコ…

え…作ったって、それって誰に渡すの……?」

俺の純粋な疑問に○○ちゃんぽかんと口を開けた。

○○ちゃんがバレンタインチョコを作った…誰かに渡す為に…

誰かに……

○○ちゃんが誰かに手作りのバレンタインチョコを渡す所を想像したら、胸が締め付けられ、まるで鋭利なもので刺されたかのような痛みが走った。


嫌だ…物凄く嫌だ…誰かに手作りチョコを渡す○○ちゃん…なんでかわからないけど嫌過ぎる。
じわぁと視界が涙で滲む。
嫌だって思ったら自然と涙が出てしまった。


『燈矢くんってもしかして天然?
誰にってそんなの燈矢くんしかいないよ…って、え、泣いてる!?』

「え……お、俺に?

手作りチョコ…俺に用意したの?」

『うん!燈矢くん甘いの好きかわからないけど…良かったら受け取ってほしいな…』

俺の涙をハンカチで拭いながら少し照れた顔でチョコを受け取ってほしいと言う○○ちゃん。


俺に用意してるとは思わなかった…だって俺なんかに作るだなんて普通思わないだろ…

うわ、どうしよう…すごく嬉しい…