「あの、大丈夫ですか?」
『え?
あ!すみません私なんか迷っちゃって…』
迷子の女の子が振り返る。
あれ…?
「○○ちゃん?」
『??
何で私の名前を……あれ?何処かで見たような…もしかして燈矢くん?』
とても懐かしい子に出会った。
彼女は○○ちゃん。
昔…8、9年前くらいに無個性だと意地悪されてるのを助けた事がある。
結局、あれから彼女とは会う事はなかったな…
けど彼女も俺の事を覚えていたようだ。
13歳という年齢の割には体も小さく、髪色も出会った頃とは違うのにわかってくれた。
それがなんだか嬉しくてくすぐったい気持ちになった。
「うん、そうだよ。久しぶりだね」
『本当だね!燈矢くん、出会った時は髪の色赤かったのに白色になってるから一瞬人違いかなと思ったよ〜』
「あー…なんか個性と体の相性でちょっとね…」
あんまり個性と体の事を話したくなくて濁すと○○ちゃんは察したのかすぐに話題を変えてくれた。
『そういえばこんな所にどうしたの?燈矢くんも迷子?』
「迷子じゃないよ!
俺は…個性の訓練をしに来たんだ」
『個性の訓練!すごい!見学してもいい!?』
「……は?け、見学?」
『うん!私無個性だから個性の訓練とか見た事なくて…だめかな?』
「○○ちゃん迷子じゃなかったの?いいのかよ俺の個性訓練なんか見てて」
『時間なら大丈夫だよ!
後、帰る時は燈矢くんに帰り道聞くから……訓練、見ちゃだめかな?』
こてんと小首を傾げて聞く○○ちゃん。
う…なんだこれ…めちゃくちゃ断りにくい…
「べ、別に…いいけど…」
『本当?良かったぁ!ありがとう燈矢くん!』
○○ちゃんはまた花が咲いたように嬉しそうに笑う。
その笑顔を見たら、出会った時と同じようにまた胸の辺りがぽかぽかとあたたかくなった。
なんだ、これ…
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