俺は失敗作だったようだ。
だからお父さんは俺を見限り、個性訓練を見てくれなくなった。
お父さんは俺を見てくれない…
俺だけじゃなく、同じ失敗作の冬美ちゃんも夏くんもお父さんは相手にしない。
今のお父さんは炎と氷の、お父さんの理想の個性を持って産まれた最高傑作の焦凍しか見ていない。

自分の存在意義がわからなくなった。
すごいよ、お父さん。要らない子を作ってさ…現代ヒーローがそんな事してるなんて世間の人は知らないだろうね?
悲しいと勝手に出てしまう涙を拭い、俺は今日も瀬古杜岳に向かう。
個性訓練をする為だ。
俺はお父さんにまた俺の事を見てほしかった。
失敗作でも俺は存在しても良いと、俺をつくって良かったって思ってほしかったから───
瀬古杜岳に着き、さっそく訓練をしようとしたら先客がいた。
こんな所に珍しい…けどどうやら迷子のようで困ったように周りをきょろきょろと見渡してた。
ここで訓練したいし、邪魔だからという理由でうろうろしている女の子に声をかけた。
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