変な子。
泣いてたかと思えばびっくりして、びっくりしたかと思えば顔を真っ青にして、それで今は真剣な顔をして俺の手当てをしている。
女の子が手当てをしているのを見てたら急に顔を上げた。

『さっきは助けてくれてありがとう!』

周りに花が咲いたように笑う女の子を見て固まってしまった。

なんだ?
なんか胸の辺りがぽかぽかする…
はじめてのよくわからない感覚につい女の子をぼーっと見つめてしまう。
そんな俺がふしぎだったのか女の子は首をかしげた。

「あ、な、なんでもないよ…えっと…」

『○○!』

「え?」

『私のお名前、○○っていうの!』

「○○ちゃん…」

『きみはなんていうの?』

「俺?俺は…燈矢。轟燈矢だよ、○○ちゃん」

俺が名前を言うと『燈矢くん!かっこいいお名前だね!』と嬉しそうに笑った。


まただ。
○○ちゃんが笑うと胸の辺りがぽかぽかする。
これって○○ちゃんの個性?
いやでもさっきの奴らが無個性だって言って○○ちゃんに意地悪な事言ってたし…


『…はい!できた!』

「ん…ありがと…」

『どういたしましてー!』

やっぱりだ…にこにこ笑う○○ちゃんを見てると、胸の辺りがぽかぽか変な感じする。
それがなんだか恥ずかしくて目を逸らす。

逸らした先には公園にある大きな時計が映っていて───あ!瀬古杜岳で訓練!
早く行かなきゃ日が暮れちゃう!

「ごめんね○○ちゃん!俺行かなきゃ!ばいばい!」

『え!?あ、う、うん!ばいばい燈矢くん!』

○○ちゃんの声を背に、急いで掛けていく。


なんか、不思議な子だったな…

でもまた会って話してみたいな、○○ちゃん。