気付いたら俺は女の子を庇うようにして意地悪な事を言う奴らの前に立っていた。

「!?」「なんだよおまえ!」「じゃまだ!どっか行けよ!」

「やめろよ。かっこ悪いぞおまえら。

この女の子、泣いてるだろ!」

 「はあ?だからなんだよ!」「だってこいつ無個性のざこだぜ?」「おれたちは本当のことを言っただけだもーん!」



「うるさい!やめないならおまえら…燃やすぞ!」


お父さんと同じ赤色の炎を手に纏うと意地悪な事を言っていた奴らは炎の火力にびっくりしたのか逃げ出した。



「熱っ…!」

すぐに逃げ出してくれて良かった。
まだ上手く使えないからあのまま喧嘩になってたら大変だったから…

くるりと後ろを振り返ると女の子はびっくりした顔で俺を見ていた。
あ、涙止まってる…良かった…。

「だいじょーぶ?立てる?」

しゃがんでいた女の子に手を伸ばす。
女の子は俺の手を取り立ち上がった後、今度は顔を真っ青にした。

『ケガしてる!』

「え?……あ」

女の子に伸ばした手はさっき個性を使った手で…そこは少し火傷していた。

「だ、だいじょうぶ!気にしないで!こんなのぜんぜんいたくな『私、お薬と包帯持ってるから手当てしてあげる!』い…え?!」

俺が話し終わる前に女の子は俺の手をベンチまで引っ張っていった。