「さっき言ってたな。
先に声をかけたのは俺達だって。

知らねェようだろうから教えてやるよ。

○○ちゃんはずっと前から俺のもんだ。
お前等の入る隙はねえ。


二度とその姿を表すな」

個性を一気に放ち、ゴミ共を燃やす。
そのまま殺しても良かったが、今ここで殺したら○○ちゃんは驚き逃げ出してしまうかもしれない。だから殺さないように個性を使う。

このまま戦ったらまずいと思ったのかゴミ共は一目散に逃げ出した。

「おい、終わったぞ」

俺が声を掛けると○○ちゃんはおずおずと近付いてきた。

『あ、ありがとうございました…』

「敬語はいらねえ」

『…ありがとう』

「なあ、それより俺が誰だかわかるか?」

『え?
……えっと…』

薄々感じていたが○○ちゃんは俺に気付いていなかった。
まあ…そうだよなァ…

最後に会ったのが10年前くらいで、あの時の俺は体も小さく、髪色も個性の色も違った。
おまけに今は顔も体も火傷で変色している。
気付く方が難しいし、どうでもいい失敗作の事なんかいちいち覚えてねえか。


ああ…でも駄目だな……
もう期待しない方がいいのに、気付いてほしかった燈矢おれがいる。
死んだはずの燈矢が出てきちまう。


…………。


「…知らねぇか」

『ご…ごめん…』


「……俺の事は荼毘と呼べ」

『荼毘?』

「そうだ、荼毘だ」

そのまま俺が昔知り合った、一人の少年…君の記憶の片隅にいるかもしれない、轟燈矢だと教えてあげようかと思ったがやめておいた。

「助けたお礼に、俺の退屈しのぎに付き合え」

『え!?』

「暇つぶし相手になれって言ってるんだよ」