○○ちゃんの家は知っていた。
俺の個性訓練の後はいつも彼女を家まで送っていたから。

○○ちゃんの自宅前に着いた。
深呼吸をし、インターホンを鳴らす。
《はい──》
……○○ちゃんの家族?
「あ、あの…お……僕、燈矢って言います。
○○さんの友人です。
○○さんに用があるのですが…い、いますか?」
緊張からか上手く話せない。
○○ちゃん…早く君に会いたいよ…
《○○?
うちにはそんな人いませんけど…》
え……?
「えっと…××○○さん…なんですけど…確かにここに住んでるはずです…」
《××?
あー…××さん…
××さんは前の住人です。確か…そうそう、3年前に引っ越してます。》
「3年前?引っ越し…?」
《ご近所さんから教えてもらったんだけど、××さんの所の娘さんが引っ越したがってたみたいなの。
早くこの場所から離れたいって毎日泣きながら言ってたのよねー
どこに行ったかまでは知らないけど、××さんはここから離れた所に引っ越したはずよ》

○○ちゃんが……引っ越したがってた?
この場所から離れたいって毎日泣いていた
俺が…失敗作だから?
強くなろうが失敗作なんかに会いに来てほしくなかったから、
引っ越した?

………俺が失敗作だから…

何を期待したんだろう。
俺はやっぱり生まれた意味なんて無い、失敗作だ。
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