ウルフ 「お前……クリス といったな。」
クリス 「ウルフ殿?」
ウルフ 「…先日の無礼を謝ろう。おれはお前の力を侮っていたようだ。」
クリス 「え?そ、そのように頭を下げられるようなことは何も…」
ウルフ 「おれは強者には敬意を払う。お前の戦いを見て、知った。
お前は強い。おそらくはおれ以上の才がある。
そしてその強さ…楽に身につけたものではない。相当の苦痛に耐えて得たものだ。
おれと同じ…幼い頃からただひたすら主君のために鍛錬を重ねた強さだ。」
クリス 「はい…私はアリティアに仕えるべく子供の頃から訓練を重ねました。」
ウルフ「お前ほどの騎士がアリティアにいたとはな…だが、わからんな。
マルス王子は…本当にお前が命を賭けるに値する主君か?」
クリス 「もちろんです。あの方に仕えることが私の喜びです。」
ウルフ「だが、お前に相応しい主君とは思えん。
マルス王子はアカネイアに反逆し、各地を力と恐怖で支配してきたという…
いずれは世界を支配しようと企んでいる…おれはそう聞いている。」
クリス 「いいえ。それは誤解です!
ウルフ殿もマルス様のことを知ってくだされば、きっとわかるはずです。
マルス様はそんな方ではありません。」
ウルフ「……そうか。無礼なことを言ったな、許してくれ。
おれももし、自分の主君を侮辱されれば許せぬからな…」
クリス 「はい…その気持ちはよくわかります。」
ウルフ 「ハーディン様はまるで悪魔のごとく人々から忌み嫌われている。
何を言われようが構わぬ、おれたちは優しかったあのお方を知っているのだから。
だが、お前には…本当のハーディン様を知っておいて欲しい。
ハーディン様は決して悪人ではない。あの方は、本当は…」
クリス 「ウルフ殿…では、お互いにもっと話をしませんか?
私はハーディン様を知りません。そしてあなたもマルス様を誤解しておられます。
二人で話せば、私たちはきっとわかりあえるはずです。」
ウルフとクリス2