いつも通り面談を始めたはいいが、中々話を切り出しにくい。
同じコーヒーのはずなのに、更に苦く感じるのはこの重い空気のせいだろうか?

狛枝くんは露骨に緊張している私を見て小さく笑い、それを皮切りにして喋り出した。


……ボクなりに真剣に考えてみたんだけど、やっぱり〇〇さんみたいに才能を持った人が、わざわざその他大勢に過ぎないボクを気にかける必要なんて無いよ

こんな依頼人も居たなって、そう認識する程度で十分…ボクの存在が〇〇さんの経験になれば、それだけで良い


でも……〇〇さんがボクを特別だって思ってくれているのが本当に嬉しくて…
いっそ嫌いになる方が〇〇さんの為だって分かっていても、〇〇さんと一緒に過ごす未来を夢見てしまうんだ

……ねぇ、〇〇さんはボクの手を掴んでくれるの?

ボクを受け入れてくれる?

狛枝くんが手を差し伸べてきた。手を取るか、それとも…手を取らないか…私はどうするべきなんだ…
●面談最終日