目を覚ますと、今ではもう見慣れた天井がありました。

どのくらい眠っていたのかは分かりません。今回はスポーツ系の才能のための身体強化手術だとか、なんだか難しいことを先生が話していたことは覚えています。

少なくとも丸一日は過ぎていると思うので、もし私が時計の針が何時を示していたのか覚えていたとしても、さして意味は無いでしょう。



おはようございます。いつものように先生に挨拶をしてみても返事はありません。
きっとまだ私が目覚めないと思い、席を外しているのですね。

身体中に繋がれた管を外して立ち上がり、チューニングをするようにとんとんと足でリズムを取ってみる。

無機質で冷たい研究室の床の感触はお世辞にも良いとは言えず、何も履いていない私の足には堪えるものがありました。

けれど今はただ、駆け出してしまいたい衝動に身を任せたいのです。

本調子とは言えない体ではありますが、出来ることは試したくなってしまうのが人の性分というもの。
そこは先生方のミスということで多めに見てもらいたいところですね。


部屋の扉を開ける
∫プロローグ