ベッドに横たわる□□は、ただ眠っているだけのように見えます。
検査後に倒れたと聞いていたので、最悪の状態まで想定はしていましたが…僕達以外は部屋に誰もいないあたり、重篤な症状は出ていないのでしょう。

簡素な椅子に腰を下ろし、彼女をじっと観察する。
顔色も呼吸も正常そのもの。
これ以上ここにいてもすることはありませんし、見続けたところで何かが変わる訳もない。
なんなら彼女の無事は座る前から分かっていました。

それでも、僕はここにいるべきなのだと、胸の奥底にある得体の知れない何かが訴えてきます。

意味の無いことをするなど、“僕”らしくもない。そんなこと、誰も求めて…
…ああ、他でもない目の前の彼女は求めて来ますね。


…□□

これも傍目から見れば意味の無い行動ですが、僕は意味を込めました。
あなたが早く目覚めるように。


√倒れる