カムクライズルプロジェクトの人体実験被験者第2号は経過も順調とのことで、私はほぼお役御免と成り果てました。
戸籍を抹消された身なので勿論帰る場所はありません。
かといって外に放り出して何か情報を漏らされたら困る。
その結果、経過観察と言う名の放置をされていましたが、ついに仕事が回ってきました。
本科生の心理学者の先生が、このプロジェクトを降りたらしく、そこの椅子が空いたのです。
突然音信不通になったとも聞かされたので、クラスメイトだった神経学者の先生に聞いてみましたが「知らねぇ」と一掃されてしまいました。
興味が無いのなら仕方ないです。
以前よりも才能が定着し、いなくなってもさして問題が無い私は、空きに据えるのに好都合だったのでしょうね。
先生から勧められ、当然のようにそれを受け入れました。
慣れた足取りで自室から出て、向かうは日向さんのいる部屋。
いえ、もう違いますね。
彼の名前は…カムクラさん、調子はどうですか?
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