今日もここで勉強をするのかい?
いいよ、こっちへおいで。

(ユラに手招きされいつもの席に座り勉強を始める)
(ここ数日勉強という名の偵察をしに来ているが、未だどこにしまっているのかさえ分からない)
(確かに貴重な物であれば自室であったとしてもそう簡単に取り出すわけがない)
(勉強をしつつ、静かにユラの油断を待つ)

…もしかして探し物はこれかい?

(コトリと目の前に置かれたのは木目に赤と黒の模様の入った鳥の置物)
(紛れもなく鷽替えだった)

毎日ああも熱視線を送られ続けたら気付かない方がおかしい。
これをどうするつもりかは知らないけれど、君の妖力では触れることすら難しい。

(触れること?と疑問に思いユラに視線を送る)
(何も言わず微笑んでいる。触ってもいいということだろう)
(おそるおそる手を伸ばし鷽替えに触れようとする)


(?)
(目の前にあった鷽替えが…消えた?)

フフ…驚いたかい?
鷽替えは主と認めた者以外の接触を拒む。
ゆえに他者が触れようとすると一瞬にして主の元へと戻る。
鷽替え自身が触れられた出来事をなかったことにするんだ。

(ユラが袖に手を入れ取り出したのは紛れもなく鷽替えだ)
(あれを盗むのはかなり難しそうだ…)