(普段行くことのない三階や四階に行ってみよう)
(古いなりに手入れの行き届いている階段は、同じ構造なのにいつもと雰囲気が違う)
(三階に着きユラの部屋と反対側の廊下を歩いていると、その異様な雰囲気は気付きにより強烈な違和感となった)
(日が出ている…)
(日の出るはずのない常夜で、月ではなく太陽が沈みかけている)
(いや、もしかしたら昇っているのかもしれないけれど、問題はそこではない)
(窓枠まで近づき目をこする)
(本来目下に広がるはずの木々は無く、運動場と住宅街がある)
(よく見れば道路には車が走っており、人々がぽつりぽつりと歩いている)
(驚いたのは景色だけではない)
(見たことのない光景であるはずにもかかわらず、どことなく懐かしさを感じる点)
(だだっ広い更地を運動場、走る何かを車と認識していることだ)
(もっとよく見ればこの違和感の正体に気付けるかもしれない)
(窓を開けようと鍵に手を
伸ばす)