(暇を持て余していることだし、気分転換に家具の配置を見直してみよう)
(そう思い立ちまずは本棚を整理していると、ある一冊の本が目に留まる)
(『名付け辞典』)
(偽尻尾に名前を付けようかと思い、書斎からこっそり持ち出していたのだった)
(偽尻尾が候補に挙げた名前すべてに激しく頷いてしまったため、決めきれずにそのまま偽尻尾という仮名を使い続けていた)
(そういえば実際の名前ばかり見ていて、本の最初の頁を読んでいなかったことに気付く)
(どうせ時間はたっぷりあるのだと自分を納得させ、そっと表紙をめくった)

(『…狐狗狸の場合、字数は二文字が圧倒的にんきを誇る』)
(『そして雄は二文字目の母音がイ、もしくはウ、雌は母音がアという決まりがある』)
(『例:ルキ、ウイ、チユ、…雄/スナ、シマ…雌』)

(ツキ、セイ、ラキ、ナキ…)
(名前が似通っていたのは、この法則があったからだったのか)
(狐のことに関してはそれ以上載っておらず、文字を読むのも疲れてきたので模様替えを再開することにした)