(飲み屋でのお酒は高揚感もありすぐに酔っぱらってしまい、気付けば閉店間際となっていた)
(慌ててお会計を済ませ店の外へと出ると、再び呼び鈴が鳴ったので不思議に思い後ろを振り返る)
(……)
(彼らは先ほどお酒を飲んでいた時に、ニヤニヤとこちらを眺めていた男性集団だ)
(気の利いた店員がガードしてくれていたおかげで声を掛けられることはなかったけれど、外では誰も助けてはくれないだろう)
(自意識過剰かなと思いながらも家路を急ぐと、無言の彼らは一定の距離を保ちつつ後をつけてきた)
(このまま館へと向かえば、途中から妖気のない道を通らざるを得ない)
(かといって遠回りできるほどの土地勘もなく、逃げ切るほどの体力もない)
(飲み屋街とはいえほとんどの店が閉まっており、駆け込むことすら選択肢から除外される)
(ユラのくれた面があるからと楽観視はできず、涙目になりながら足を早める)
(…?)
(徐々に足音が減ってきているような気がする)
(もしかして先回りして道を塞ぐつもりでは…)
(半ばパニックになりながら走り出すと、待てよという怒りのこもった声が耳に届く)
(自身の上がった息にかき消されながらも足音は確実に迫り来ていて、もう駄目かと諦めかける)
(ガシッ)
(バチィッ)
(肩を掴まれたと同時に静電気のような音がした)
(面のまじないが発動したのだろう)
(最後に聞いた足音は一つだけだったので、どうなったのだろうと思い恐る恐る後ろを振り返る)
(そこには…)
??:…
痛いんだけど。