今日も今日とて元気だな。また性懲りもなく真実の愛だの運命の相手だのと口説きに来たようだ。
ここ数年は分かりやすく突き放し傷付けたことも数知れず。
アイツが居た頃と比べると薄情な態度だろうに、のっぴきならないからと意固地になっているのか?
…だがまあそろそろ潮時か。
再び常夜へと舞い戻ってきたお嬢をさして咎めもせず留まることを黙認し、現世での再起を困難にしてしまった罪は重い。
館の再建も一段落した今、俺自身の狐生を歩むいい機会でもある。
そう、だからこそ今が一番天狐になるのに相応しい。
少し前から兆候はあったんだが、若者たちの奮起を見届けなければと見て見ぬ振りをしていたんだ。
目に見えなくなればさすがのお嬢も諦めざるを得ない。そうだろう?新入り。
相変わらず意地悪だなぁもう私が綺麗じゃないから?