知り合うも何も、あれほど高身長で奇抜な格好をしていたら嫌でも目に入るわよ。
アタシもアタシで乞食みたいなことをしてたから、もしかしたら向こうも知っていたかもね。

でもそうね、最初に言葉を交わしたのは…、
…ハア、思い出すだけでイライラする…。

初めて捕まえた客を連れて万華堂の前を通り過ぎた時、あのバカが客に向かって「そいつは男だぞ」って言い放ったの。
別に女を売りにしているワケじゃないんだから黙ってろって言ったんだケド、あの見た目にビビッて客の方が逃げちゃったのよ。

それでもう失望落胆しちゃってね。
店の前でバッタリ倒れて自身の境遇を恨み辛み交えながら愚痴をこぼしてやったワケ。
そしたら慌てたアイツが万華堂の店番をしてくれるなら衣食住を保証してやる、なんてふざけた提案をしてきて…結局アタシはそれに乗った。馴れ初めはそんな感じよ。

だから時々店に行る時に急用が入ると店番を頼まれるの。
今も昔も、強引で無神経なところは変わらないのよね…。

いい妖だと思ったけど違うの?
ふふふっ、オミらしいね