(バレンタイン当日)
(季節の催しなどと縁のない万華堂は、今日も今日とて暇を持て余していた)
(オミはお茶などとっくに飲み干し、気だるげに頬杖を付き、時々欠伸を噛み殺しながら帳簿をつけている)
(渡すチャンスは無限にあるというのに、いざ鞄に手を伸ばそうとすると緊張してしまう)
(そもそも受け取ってくれたとして、その場で手紙を読まれてしまっては恥ずかしくて死んでしまう)
(ここは…)

帰り際にこっそり置いて走って帰ろうかな