(いつものように店に遊びに行くと、入り口からオミのものでない尻尾が見えた)
(お客さんだろうか?近づいていくにつれふたりの声が鮮明になる)
(どうやら尻尾の主はお客さんではなく、オミに告白をしに来た妖のようだ)
(オミの姿は確認できないが、いつもよりも声色が低い気がする)

…悪ィけど、気持ちには応えらんねぇ。
仕事中だし帰ってくんねぇか。…また飲み屋でな。

(女の妖のすすり泣く音が止み、尻尾の持ち主がのれんを避けて万華堂を出て行く)
(目元を赤く腫らした妖は、とても美しい顔立ちで綺麗な毛並みの妖狐だった)
(事情を知ってしまったためとてもすぐには入れない)
(少し時間を置いてから万華堂ののれんをくぐった)

明らかにぎこちなく接する