…もう日付を超えたわよ。そろそろ部屋に戻りなさい。
アタシはまだ飲む気でいるケド、アンタは今にも寝てしまいそうじゃナイ。
阿紫霊狐なんかが夜更かしするもんじゃナイわ。ほら、水も飲めないワケ?
……。
(酔いと眠気と戦っているさなか、ふいに顎に手を添えられ斜め上へと向かされる)
(そこにはラキの冷めた顔があり、整った顔立ちに思わず顔が綻んでしまう)
(けれど彼は何を思ったのか、こちらに触れているのと反対側の手でチェイサーを持ち上げ自身の口につけた)
(少しだけ中身の減ったグラスを元の場所へ置き、そして…)
……、
(口内へと注ぎ込まれた水を、喉を鳴らして飲み干す)
(かろうじて出た言葉は、なんでという三文字だけだった)
なんで、ねぇ…。
付き合ってもいないのに口づけを交わすだなんて、普通は怒るか嫌悪感を露わにするものじゃナイ?
まず先に理由を問うだなんて、アンタらしいと言えばそうかもしれないケド。
…好きだからと言ったら、理由にならないかしら。
(想像もしなかった答えに、文字通り言葉を失ってしまう)
(その様子を横目でちらりと見やり、彼は浅いため息をついた)
お馬鹿さんね。嘘に決まってるでしょ。
目は覚めているように見えるケド、頭は寝ているのかしら。
今日がエイプリルフールだってコトは知っているでしょ。
何のためにあえて日付が変わったことを強調したと思ってるのよ。
ハァ…どうでもいい嘘なんかつくものじゃナイわね。
(ラキはもう一度チェイサーに口をつけ喉仏を上下させる)
(水を飲む前より頭が真っ白になった気さえする…)
顔が近づくのにちゅーしてくれるくらいには好かれてるという事ですね分かりま好きです