うん、知ってる。今日館に連れてきたあいつと数日前つがいになったんでしょ。
常時君のことを監視している僕が気付かないはずないのに。
それで今日は僕にお別れを言いに来たってワケだ。
相手が居るのに毎晩コソコソと抜け出せるはずがないよね。
能天気でもそういう倫理観は持ち合わせているんだから不思議だよ。

だから今回は君に合わせてあげることにした。
つがいが居ると来れないなら、つがいが居なければ来てくれるってことでしょ。
…急に表情を強張らせて。でももう遅い。
大丈夫。つがいを喪った悲しみは僕が埋めてあげる。
これからも毎晩待っているよ。その都度抱いて君の記憶を上書きするんだ。