…簡単に報われなくてもいいだなんて言わないでくれ。
お嬢は自分に見合った相手を探すべきだ。俺とでは決して幸せになれない。
何のために距離を置いていると思っているんだ。…いい加減、分かってくれ。
(直接的な言い回しではなかったものの、彼の意図することが理解できないわけがなかった)
(思ったよりも自身の受けた傷は深かったらしく、気付けば館の方へと走り出していた)
(報われなくていいと言ったのは自分だというのに、いざ嫌悪感を剥き出しにされすっかり混乱してしまっていた)
(だから以前から再三忠告されていた崖の位置など、すっかり頭からは
抜けていた)