(本当は嘘、お母様だって心の奥底では分かっているはず)

(お母様は私を宿した事をお父様を気遣うあまり報告すらしていない)

(そんなお父様が私たちの事なんて知る由もない、だけどお母様はそれを認めたくない、認めてしまったら、本当に心が壊れてしまうから)

(だから賭け麻雀で私が稼いでそれをお父様からの仕送りと言う事にしている)

(本当なら普通の子みたいに学校で友達と一緒に遊んだり、勉強したり、生活苦を理由に自分の人生を犠牲にはしたくなかった)

(でも、私は一度たりともお母様の事を恨んだ事はありませんよ?)

(恨むべきは、お父様とその娘)

(知らない事は罪、いえ、知らないからこそ私は絶対に許したくない)

(お父様に恨みを晴らすだけなら、とても簡単、私の身を公に晒してしまえば良い、社会的な地位も、一人の夫として、そして父親としての立場も悪化するのは明白)

(けれどそんな事をしたらお母様が悲しんでしまう、悲しませたくはない、私にはお母様だけがただ一人の家族なのですから)

(復讐するとしたら麻雀で打ち負かし、正々堂々と立場を、玉座を奪う事しかない)

(ふふっ、可笑しな話しですね、認知すらしていない娘との対局、何故だろうか、お父様なら私やお母様の存在に気づいてくれると確信を持てる)

(そうしたら立場を奪った上でどのような思いをしながら、這い上がったのかをお父様にだけ聞かせるの)

(自責の念で後悔してもしきれない後悔を抱いて苦悩してくださるのかしら?)

(いっそのこと開き直るようなクズであればお母様もそれほど傷つかずに現実を受け入れてくれると思うのに)

(まぁどちらにしろ、もっともっと強くならなければいけないですね)

(悔しいけれど、今は足元にも及ばないだろうから)

(それにしても、交流戦で拝見しましたが、あの女、弱かったですね、あの程度でお父様から才能を受け継いでいると自負しているのですから愚かな妹です)

(…とは言え、そろそろ動いた方が良いですね、それにプロになれば今より稼げるだろうし、綺麗なお金をお母様にお渡しすることができますから)
華来の過去2