学校に忘れ物を取りに行った時の話です。
明日までに提出しなきゃ単位がもらえないから
夜7時を回っていたけど自転車飛ばして取りに戻ったんです。
夏も終わりかけで
真っ暗って程じゃないけど夜になりかけの薄暗さでしかも空気が生ぬるい。
時々吹く風がやけに遠くの木をざあざあ鳴らして
『誰もいない校舎』にぴったりの雰囲気でした。
運良く入口はまだ開いていたんですが
薄暗い中の細々と光る緑のランプが不気味で
鍵を閉められない内にとっとと教室に行って
とっとと戻ってこようと
小走りで教室へ向かったんです。
下駄箱の正面にある階段を上って
右側へ進んだ一番奥が自分の教室で
そこまでに3つ教室があるんです。
教室の中自体が暗闇に包まれていて
ガラスにハッキリ自分の姿は映るんだけど
室内の机や椅子は暗さに溶けかかっているような
そんないつもと違う雰囲気も気味が悪かったから小走りで駆け抜けたんだけど
最後の窓に緑色の何かが眼の端をよぎったんです。
気のせいだ、と思ったけど
なんとなく、顔面が緑色の女の顔に見えました。
ランプのせいだ
緑色のランプの光があたった自分の顔だと思いながら
2つ目の教室を横切った時
間違いなく、緑色の女が窓にべったりと顔を張り付けながらこちらを見ている。
3つ目の教室。
笑いながらドアの隣の窓に
まるでガラスを通り抜けようとしているんじゃないかと思う位顔を押さえつけていました。
最後の自分の教室へはもう入る気はなくなり
そのまま奥の階段を駆け下りました。
その途中、教室のドアが開く音がしたので全速力で階段を下りたけど
下駄箱へ続く廊下には
さっきと同じ数だけの窓、窓、窓。
どうしても通り抜けはしたくないと思ったので
反対側のトイレへ駆け込み
夢中で奥の掃除用具入れの中に入りました。
ぺたり、ぺたりと裸足で歩く音が近づいてきました。
個室は3つあり
手前の個室から、 こん こん とノックをした後
キィィ…と中を確かめる音がしました。
さらにもう一度
こん こん とノックの後、ドアを軽く開ける音。
さっきよりも近い2番目の個室です。
そして隣の3番目の個室を こん こん とノックの後、今度はドアは開かず、隣の壁…3番目の個室と用具入れを隔てた壁が こんこん と鳴りました。
心臓がこれ以上無い位早打ちとなり、肩が強ばり、涙が出てきました。
よく怪談である上から覗いていた…という話を彷彿とさせ、恐怖で叫びそうになったその時、隣の個室から、
「 う お ぉ お お ぉ ぉ お !!!? 何 で 覗 い て ん だ て め ぇ え ぇ え え ! ! ? 」
隣入ってたのかよ!
思わず上を見上げたら緑色の女も え っ て顔で個室と用具入れを交互に見比べてました。
何で想定外みたいな表情してんだよ!
て言うか隠れている人間はお前のノックに対して中にいますよアピールはしねェよ返せ俺の恐怖心。
誰もいない校舎