以下はバイト先の上司から聞いた話です。


夜の山道を1台の車が走っていました。乗っているのは1人の男。


街までは遠く、前にも後ろにも車はありません。


しばらく走っていると、周囲がモヤモヤっとしました。


霧でも出たのかなと思っていたら、後ろに車が1台。彼は

「こんな時間に走ってる車もあるんだな・・・さっきまではいなかったのに」

と思いながらも、普通に車を走らせていました。

しかし、しばらくすると、その後ろの車が急に近づいてきたのです。


そして彼の車の真後ろにまでやって来たかと思ったら、いきなりパッシング。


彼はびっくりしました。しかし、その車はまた離れていきました。


ちょっと気持ち悪いと思いながらも、彼は再び運転に集中しました。


ところが、またもや後ろの車が近づき、そしてパッシング。そして離れていきました。


彼は怖くなり、車のスピードを上げましたが、後ろの車は同じ事を何度も繰り返します。


そうこうするうちにようやく山道が終わり、街の明かりが見えました。


彼は急いで山を下りると、麓にあったコンビニに車を止め、中に駆け込みました。


そして店員に「変な車が追ってきている。警察を呼んでくれ!」と叫びました。


店員が驚いて電話をしようとしたそのとき、あの車がコンビニに止まったのです。


そして中から1人の男が降りると、コンビニに入ってきました。


彼は怖かったのですが、ここはコンビニだし、店員もいるので多少勇気が出ていたので、

男に文句を言いました。


「あんた一体どういうつもりなんだ!」


しかし彼は怒鳴った後で思い切り驚きました。


なぜなら、その男も彼と全く同じセリフを言ったからです。


驚きながらも彼は、男にどういうことか事情を聞きました。


すると男はここに来るまでの顛末を話し始めました。



夜の山道を1台の車が走っていました。乗っているのは1人の男。


街までは遠く、前にも後ろにも車はありません。


しばらく走っていると、周囲がモヤモヤっとしました。


霧でも出たのかなと思っていたら、前方に車が1台。彼は

「こんな時間に走ってる車もあるんだな・・・さっきまではいなかったのに」

と思いながらも、普通に車を走らせていました。


することもなかったので、彼は前方の車を眺めていました。


暗くてよくわからなかったのですが、車内にいるのは1人だけのようです。


しかし、よく見ていたら助手席にも人影が見えました。


 「あれ? さっきは1人だけ乗ってるように見えたんだけどなぁ」


と思ったその瞬間、信じられないことが起こりました。


運転席のシートの上の部分、つまり運転手の首筋のあたりに向けて、

助手席から真っ白い手が2本、スーっと伸びていったのです。


彼は驚いて車を近づけ、パッシングをして運転手に知らせようとしました。


すると、その光のせいでしょうか、助手席から伸びた手はまた戻っていったのです。


彼は安心し、車を離しました。しかし、しばらくすると再び助手席から白い手が・・・

彼はまた車を近づけてパッシングしました。するとまた手は戻っていきました。


そうこうするうちにようやく山道が終わり、街の明かりが見えました。


前方の車は急いで山を下りると、麓にあったコンビニに車を止めました。


それを見て、彼は「いたずらにしてもほどがある。文句を言ってやろう」と思い、

自分も車を止め、ここに入ってきたのです。-------------------


話し終えた男は最後に語気荒く質問しました。


「で、助手席の野郎はどこだい」














変な車