前と同じく俺がいた場所は動かない柱があるマダツボミの塔だったが、今度はすべてが赤くなっていた。

俺は北に向かってずっと歩き続けた。

やがて男女のNPCに出会った。

彼らは全員脇に並んでおり、真ん中の長い斜めの柱の方を向いていた。

NPCも真っ白で、話しかけても何も起こらなかった。

そのまま北へ進むとついに切り落とされた柱が現れ、切り落とされた部分に透明なレッドがいた。

レッドに近づいていくと、Aボタンも押していないのにいきなり戦闘に入ってしまった。

再び音楽が流れ出し、それはアンノーンがいるアルフの遺跡でラジオを聴いていたときの曲のようだったが、逆再生されていた。

戦闘時におけるゴールドの背面のドット絵は、血走った目、白い肌、腕がないなど正面のものと一致していた。

それに対してレッドのドット絵は透明ではあるものの、ポケモン 金・銀・クリスタルのものと同じだった。

まるでレッドに名前が無いかのように、テキストには「がしょうぶをしかけてきた!」とだけ書かれていた。

そして2人ともポケモンを1匹ずつしか持っていなかった。
俺にはアンノーンを含めて6匹いたはずなのに変だった。

俺の色違いのセレビィが出てきた。
正面と同じく、背面のドット絵も片側半分だけだった。
そして色違いのポケモンが出るときに鳴る効果音とアニメーションが違っていた。

その音は「いやなおと」を何回も続けて使ったような音だった。

レッドは一見普通のオスのピカチュウを出したが、そのレベルは255だった。

ピカチュウのドット絵は悲しそうにしていて目には涙を浮かべていた。

通常の「たたかう」「リュック」「ポケモン」「にげる」ではなく、技を使うかどうかの選択肢しか与えられなかった。

セレビィの技は1つしかないのでそれを選んだ。ピカチュウのレベルは255なので、当然ピカチュウが先に行動した。

「ピカチュウはのろいをつかった!」素早さが下がって他の能力が上がった。
ピカチュウが「のろい」を使えるかどうかも分からない。

「セレビィはほろびのうたをつかった!」3ターン後にお互いのポケモンが気絶してしまうが、仕方がない。

この時点で「たたかう」メニューに戻ることもなく、俺抜きでそのまま戦闘が続いていた。
また、なぜかアニメーションは一切なかった。

「ピカチュウはじたばたをつかった!」ピカチュウの体力は満タンだったため、レベル差と攻撃が上がっているにも関わらずあまりダメージを与えられなかった。

「セレビィはほろびのうたをつかった!」既に使われているので何も起こらなかった。

「ピカチュウはやつあたりをつかった!」大ダメージを与え、セレビィのHPが10未満になってしまった。

「セレビィはいたみわけをつかった!」セレビィはそもそもこの技を覚えていなかったので驚いた。
現在、セレビィとピカチュウのHPは約150。

「ピカチュウはくろいまなざしをつかった!」意味は無かった。

予想していた通り、「ほろびのうた」の効果で俺のセレビィは気絶してしまった。

しかしテキストには「セレビィはしんだ!」と表示され、通常の画面から落ちるアニメーションではなく、セレビィのドット絵が消えてしまった。

なぜか「ほろびのうた」を使ってもピカチュウは気絶していなかったが、俺の負けにはなっていなかった。

ポケモンは4つしか技を覚えられないはずなのに、ピカチュウは違う技を使った。


「ピカチュウはみちづれをつかった!」

その後「ピカチュウはしんだ!」と表示され、ピカチュウの姿がゆっくりとフェードアウトした。

透明のレッドのドット絵が現れ、「..........」と言った。
どうやら俺が勝ったようだ。




そして突然、透明のレッドの頭が無くなったので俺はただとても驚いた。

レッドには透明な体しか残っていなかった。


戦闘はその時点で終了し、音楽と共にフェードアウトした。




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ロストシルバー8