20XX/12/22
いまから15年ほど前のことになります。大学生のころ東京のマンションで一人暮らしをしていました。
両親が心配性だったこともあり、学生にしてはいいマンションに住ませてもらっていました。
オートロック付きの駅近で階数は2階でした。2階といっても中2階というのでしょうか、1階が半地下のような造りだったのでイメージ的には普通のマンションの1階と2階の間くらいの高さでした。
リビングともうひとつ部屋があり、そこを寝室として使っていました。寝室には窓がひとつついていました。
その日は夏の暑い日でした。朝、起きるとその窓が開いていたのです。そのときの感覚をいまでもしっかり覚えています。
目を開けた瞬間、いつもと空気が違うというか匂いが違うというか、何かが変!と思ってがばっと起き上がったんです。
あの感覚はなんだったのかいまでも不思議に思います。
部屋を見渡すと思い切り部屋が荒らされていたのです。机の引き出しは開けられ、クローゼットは開けられ、服は引き出され、めちゃくちゃになっていました。
パニックになり、大家さんに連絡して警察に来てもらい大変な騒ぎとなりました。
調べたところ、なくなったものはバッグの中のお財布だけでした。
寝室はとても狭く、私は布団を敷いて寝ていました。犯人は寝ている私を何度もまたいで部屋を荒らしていたことになります。
不思議でたまりませんでした。
私は眠りが浅く、いままでも何度も夜中に目が覚めることがあったのです。
トイレにも起きるし、携帯のメールが鳴れば起きます。特に夏場は寝苦しく水分補給したりもしていました。
その日に限って私は朝まで一度も起きることなく熟睡していたのです。
こんなにめちゃくちゃに部屋を荒らされていたのに、です。
物音なくこんなに荒らすことはできないと警察の方も言っていました。
目が覚めちゃったり、犯人と鉢合わせしてたら命もどうなっていたかわからないよと。
犯人は、外のエアコンの室外機を使って窓から侵入してきたとのことでした。
その日に限って私は窓の鍵をかけ忘れていたようです。1ヶ月ほどで犯人は逮捕されました。
近くに住む男でした。警察の方からその後いろいろ話を聞いて身震いしました。
犯人はナイフを持って侵入したとのこと、侵入を狙って窓の鍵を閉め忘れたりしていないか毎日のように室外機に上ってチェックをしていたとのこと、です。
犯人は捕まりましたが、もうそのマンションには怖くて住んでいられなくなり引っ越しました。
オートロック付きだからといって安心はできません。
本当に怖かった体験でした。
もし、いつものように目が覚めていたら。