え、
(ラギー先輩の手から、持っていたドーナツが転げ落ちる。それを拾おうとした私の手を強く掴み、いつになく真剣な表情で詰め寄られる。)
なぁ、マジで言ってる?
(ぎゅ、と強く手を握られ、懇願するように見つめられる。ラギー先輩の事だから簡単には騙されないと思ったのに、この余裕のなさからすると、恐らく間に受けている。)
(ラギー先輩の言葉に頷くと、ラギー先輩はそのままへたりと項垂れ、その場にしゃがみこんでしまった。いじけてる子供みたいだ。)
…そうッスよね。
監督生くんには、帰る場所があるんスもんね。いつか帰るんだろうなぁとは思ってましたけど、突然こんな日が来るなんて、正直思ってなかったッス。
ちなみに、いつ、帰るんスか?
(ラギー先輩はちらりと上目遣いでこちらを見る。正直そこまで考えていなかったし…ましてやラギー先輩がこんなあっさり騙されると思ってなかった。)
(…1週間後、ですかね)
(出任せもいい所だ。つきなれていない嘘をついたせいか、視線が不自然に泳いでしまう…が、ラギー先輩は気付いていないようだ。)
…そッスか。
じゃあ、盛大に送り出してやらないとッスね。
(ラギー先輩はいつもの様にへらりと笑ったが、取り繕っているのが見え見えだった。その笑顔が、ひどく心苦しかった。)
1週間後