(その日の夜、ラギー先輩が寮を尋ねて来た。
きちんと服を着ていることを確認して出迎えると、小さな花束を持ったラギー先輩がいた。)

遅くにすみません。バイト帰りになっちゃって。
さっき誕生日プレゼントちゃんとあげらんなかったから、これ。

(ラギー先輩が持っていた花束を差し出す。…ドライフラワーの花束だ。どことなくラギー先輩を連想させるような、イエローがメインの色取りになっている。)

お祝いくらいでしか花束なんて貰わないでしょ。
それに、監督生くんのことだから花とかすぐ枯らしそうだなーと思ってさあ。
これなら枯れることもないから、ずっと部屋に置いとけるッス。

あ、あと誕生日といったらごちそうがなきゃね。
今度レオナさんの金でパーティでもしましょ。せっかくの誕生日なんだから、楽しい思い出作りましょうよ。

(花束を持った私の手の上に、ラギー先輩の手が重なって、「ね、」と言って笑う。)
(ひとりぼっちでこの世界にやってきた私に、ラギー先輩なりに気をつかってくれているのだろうか。)

…そろそろ帰りますね。もう遅いし。
また明日。

(最後に私の頭を撫でると、ラギー先輩は玄関を出て行った。)

その日の夜