?「あ、やっと起きた!
おはようママ。
アタシの方が早起きなんて珍しいね。
疲れてたの?今日はいい天気よ」
(頭にお団子を2つ結った女の子が、あなたの顔を覗き込んでいる)
(綺麗な子だ…誰だろう?)
?「?
ママったら寝ぼけてるの?
ちゃんと起きないと、また父さんが心配して奇行に走るわよ。
この前起きてびっくりしたでしょ?
仕事で疲れて深く眠ってただけなのに、父さん『子猫が起きない』なんて珍しく動揺してさ…
いつもはアタシの前じゃママのこと『母さん』って呼ぶのにね。
アタシはママが疲れて寝てるの知ってたから、ちょっとは労ってあげたら?って言ったの。それであれよ。
確かにママはぬいぐるみが好きだけど、癒すためになにも犬のぬいぐるみで囲まなくたって…ねぇ?
ケルベロスでも召喚する気なのかと思っちゃった。自分はシロクマみたいな図体してるのにね。ふふ…
でもあれ可愛いよね。白黒の犬。
なんでボストンテリアにしたんだろ?父さん好きだったのかな」
(露出の多い格好の彼女は、楽しそうに話しながらカーテンを開け、あなたのいるベッドに近づいてきた)
(ママとは自分のことだろうか…?)
(眠気が酷く、頭がすっきりしない)
?「ママ?具合でも悪いの?
待ってて、いま温かいもの持ってくるから」
(何の疑問も持たずにこちらに向かって『ママ』と呼び続ける彼女に、混乱が加速する)
(子どもを産んだ記憶はないし、自分はそもそも結婚してすらいない)
(ましてあんな大きい子どもなど…)
(頭が痛み、額を押さえると、彼女が下の階に下りていった)
(眠る前自分が何をしていたのか思い出せない)
(スタンド攻撃だろうか?と部屋を見渡してみるが、やはり見覚えのない部屋だ)
(病室には見えない。どこか家庭の寝室のようだ)
(ふと、ベッドサイドに置かれた写真立てが目にとまる)
(近づいてみると、白い服を着た大柄な男性に肩を抱かれ、赤ん坊を抱っこして笑う女性の姿があった)
(二人の左手には揃いの指輪がはまっている。夫婦らしい)
(男性にはどことなく見覚えがあるが、それよりも隣の女性が気になった)
(否、見覚えどころではない)
(今より少々年をとっているが、間違いなく彼女は、見慣れた自分自身の顔だった)
(とすると、隣の男性は…?)
(無表情ではあるが恐ろしく整ったその緑の瞳に、黒い学帽を被った少年の姿が重なる)
(あれは…)
「…子猫さん!!」