(やがていい時分となり、聞川真の家からお暇することにした)
(玄関で彼と向かい合い、尋ねる。また来ても良いだろうか、と)
(聞川真はそれに対して一度目を見張り、静かに伏せる。そしてそれを再び上げた時、その瞳は悲しげな色に染まっていた)

また来たいって思ってくれてありがとう。
本当に、本当に嬉しいって思ってる。
…けど、止めた方がいいよ。
俺と付き合ってると、この先お前は絶対嫌な思いをする。絶対にだ。
…だから、これっきりにしよう。
…ごめんな…
(…どういう理由があるのかは分からない。だが自分が聞川真に拒まれてしまったということは事実だった)
(頷き、彼に背を向ける。ドアを開けてそれをくぐり抜け、後ろ手に閉めたーーその直前。耳朶を打ったのは小さな声だった)
今まで、本当にありがとう。
◯◯がいてくれて、俺、幸せだった。
…さよなら。
(ハッとして背後を振り返る。だが既にドアは閉ざされいた。反射的にドアノブに手を掛けたが、それを捻るよりも早く内側からは鍵の施錠音が響いてきたのだった)