(自分はこの場所を知らない。聞川真という人物ごと記憶からはすっかり消えてしまっている)
(だからどこに行けばいいのか分からない。分かるはずもない)
(そのはずなのに、足は自然と動き出していた)
(いくつか扉の前を過ぎ、やがてひとつの扉の前で足を止める。ーーここだ、と。何故だかそう思った)
(そっとドアを開ける。途端視界に広がったのはやはり知らない部屋。知らない匂いだ…)
(ドア付近でそのまま部屋の中を見回していると、背後から微かに息をつく音が響いてきた)
(振り返れば、眉尻を下げてこちらを見ている聞川真の姿がある)

…なんだ、良かった。
やっぱり、冗談だったんだな…?
…良かった…
冗談じゃないよ