(ある日。夜中に目が覚めた真は喉の乾きを覚え、部屋を出た)
(ぼそぼそとした小さな声が耳に入ったのは、リビングに近付いた時だ)
(家には今、真以外には母親しかいない。だから当然その声は彼女のものということになるのだろうが、一体こんな時間に誰と話しているのだろう?)
(そう思ったら自然と足を止め、息を殺し、耳を澄ませていた)
(電話の相手が、今は単身赴任をしてる父親だということにはすぐに気付いた。それと同時に、話の内容が真のことだということにも)
(嘘を吐いていない母親のその声は、震えていた。時折ぐすぐすと鼻をすする音が辺りに反響していた)
(彼女は泣いていた。あの子のことが分からないと。自分のせいで泣いていたのだ)
(それを理解した瞬間胸にとてつもない苦しさを覚え、服の胸元をぎゅっと握り締める。その下で心臓が激しく脈打っているのが分かった)
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