(真は痛感していた)

(わざわざ知らなくてもいいことを強制的に聞かされる現象は、彼の想像以上に精神を蝕むものなのだと。無視をし続けることなんて、到底困難なことなのだと)

(冗談も嘘も建前も。それがどういう意図で吐かれたものであれ、積み重なれば毒にもなるのだと)

(彼だって頭では分かっているのだ。それらが必要になる場面があることくらいは。事実、真だって本音だけで生きてるわけじゃないのだから)

(だからそんな自分が周囲に対して反発を覚える資格なんてないことを、痛いほどに彼は理解している)

(だが、頭と心は別だ)

(いくら頭で理解しようとも、心が納得をしてくれない。それゆえ周囲の声が、聞こえる「本音」が、どんどんと彼の心を削っていくのを真は自覚していた)

(聞こえなければ、知らなければ。そんなことはなかったはずなのに)

(何度もそう思った)

(ーー彼が人を避けるようになったのは、まもなくのことである)



寂しがりはひとりぼっちを望む4