(聞川真は、しばらく前から奇妙な現象に見舞われている)

(誰かと喋っていると、相手の声が二重になって聞こえるーーそんな現象だ)

(厄介なのはその内容がばらばらなことだ。例えるならば、同じ人間が同時に別々のことを話かけてくるような感覚、というのが表現として近い)

(突然そんな状態に陥れば、通常であれば正確に声を聞き取るのも困難なはず。けれど何故か、真は始めからそれを実に容易く聞きわけることが出来たのである)


寂しがりはひとりぼっちを望む