(真には悪いが、やはりスルーすることにした。危ない橋は渡らないに限る。不審者にお触りは駄目、絶対)
(そう心に決め、細心の注意を払いつつそろりそろりと自宅の方へと歩を進めーー)
(手を下ろしながら小さく息を吐き出して振り返った彼と、目が合ってしまった)

あ……
……
……

ど、どうもー!
(ニコーッと笑っているものの声は引き攣っている。不味いところを見られたと言わんばかりだ)
(こちらが何かを口にする前に、彼はそそくさとこの場を立ち去ってしまった)
(その顔がどこかで見たものだと気付いたのは、しばらく経ってからのことだった)