(空には雲が立ち込め、月の姿はどこにもない)

(せっかくの十五夜なのにと落ち込みつつも約束をした以上はと、とりあえず真の家を訪ねた)

(来る時はインターホンを鳴らさないでくれ、と少し前にメッセージが届いていたため一先ず控えめに玄関扉をノックしてみる)

(さほど待たぬうちに、カチャリと鍵の開錠音が辺りに響いた)



ーーいらっしゃい

今日さ、母さんが早く帰って来たんだけど…もう寝室にいっちゃってな

…多分疲れて休んでると思うから静かに、な?

(いつもより声を落としてそう告げる真に頷き返し、足音に注意を払いながら通い慣れた彼の部屋へと向かった)


十五夜を君と/曇天