(お返し、大したもの用意出来なくてごめんな。そう言って真は少々苦味の混じった笑みを浮かべた。3月14日、ホワイトデーのことである)

(ごめんも何も、そもそも何か見返りを求めてバレンタインにチョコを渡している訳ではない。ただ自分が渡したいから渡しているのだから、真が謝る必要など一切ないのだ。と言うようなことを彼に伝えてみたところ、分かってるよ、真はひとつ頷いてみせる)

お前がお返し目当てとかじゃないのは分かってるつもりだし、俺だって今日渡したお菓子…まあ実際にそんな大した物ではないにしても心を込めてないって訳ではないんだ

だけど…こう、さ?

こういう時俺が外に出られたらお返しの選択肢ももっと色々あったんだろうなぁとか、ふと思って

そしたらホワイトデーの催事行ったらもっといいのあったんじゃないかなぁとか、もっと喜んでもらえるものがあったんじゃないかなぁとか…まあ、そんなこと考え始めちゃって、つい

いやまあ、そんなに気にするんだったらネット注文しろって話なんだけど…実物見ながらと写真だけ見て買うのとではやっぱり違うよなぁとか…

(そりゃあまあ世間には大量に物が溢れている。それはホワイトデー関連商品という点でも同様で、人気キャラクターとのコラボ商品やら人気パティシエの監修した商品やら世間から見て「良い」とされる物は数多くあるわけだ)

(が、結局のところそれも受け取り手次第。世間が良いと判断する物でも自分にとっては微妙なことがあるように、世間にとって微妙なものでも自分にとってはこの上なく良い物、嬉しい物だということは往々にしてあるのだ)

(つまりはまあ、変に気にする必要はないのだ。と、そんな感じのことを伝えてみたところ、真は嬉しそうな…それでいて少し申し訳なさそうな笑みを浮かべて見せる)

(あるネガティブ思考の軌道修正には成功したようだが、未だ僅かに浮かぶ罪悪感にも似た何か。それを完全に取り払うにはどうすればいいだろうか。ぐるりと思考を巡らし、ひとつ案がよぎる)


なら、お菓子のおまけにハグをつけてください
ホワイトデー2024