(全力疾走する真について誰もいない道路を駆け抜け、玄関扉を乱暴に開いて家に飛び込み、廊下を走って、部屋へと飛び込む。ぜえぜえとふたりして荒い呼吸をしばらく繰り返しーー不意に真が小さく呻き声を上げた)

…う、うぅ…!
なんだあれ、なんだあれ…っ
ひっ、く、なんだよあれぇ…!
(突如としてぼたぼたと涙をこぼし始めた彼にぎょっとする)
(なんだあれもなにも、詳細はちょっと分からないが真の友達じゃないか。にも関わらず、彼はどうしてここまで動揺しているのだろうか)
お、お前、見えなかったのか…?なんにも聞かなかった?
あの、人の形した、真っ黒のやつ…っ
に、日本語かどうかも分からないような言葉呟いてて…顔?近付けてきて…!
う、うぅっ、こわい、怖かった…っ
(ようやく合点がいく。彼と自分では違うものが見えていた。それゆえに真はここまで怯えているのだと)
(…怖がりな真に対し、ここはなんとも意地の悪い場所だ)