(寝ぼけ眼を擦りつつ上体を起こす。寝起きのせいか普段よりも頭は妙にぼやついていた)
(…何かを忘れているような…?)
(具体的に何がどうというわけではないが、何か引っかかる。そんな漠然とした感覚をふわりふわりと思考とともに漂わせているうち、それに思い至った)
(そうだ、花火。花火だ)
(一緒にすると約束したのだからーーとそこまでごく自然に考え、あ、と間の抜けた声が溢れた)
(あれは夢の中の話じゃないか、と遅れて理解したためである)
(そう夢だ。あれは全部夢。今はまだはっきりとしているけれど、やがては消えていってしまう泡沫)
(夢と現実との境目が明確になっていくと共に、浮き足立った心が萎んでいく。たかだか夢のことなのに、とは思うものの自分自身にもどうすることもできなかった)
(だから、なのだろうか)
(隣に住む幼馴染みの顔を、なんだか無性に見たくなった)
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