(始まりが突然であれば、終わりもまた唐突だった)
(それが起こったのは、夕日がまもなく沈もうとする頃。それまで普通に喋っていた真が不意に黙り込んだかと思うと、途端にその表情を強張らせたのである)

…い、った…!?
いた、痛い…!
(突然に痛みを訴えた彼は、自分の体を抱き締めるようにしながら床にへたり込んでしまった。額を床に擦り付けんばかりの勢いで上体を曲げた彼の背中は小刻みに震えている)
(そして。あまりにも唐突な出来事に慌てる自分を置き去りに、それは起こったのだ)
(ポロッと、もげたのだ)
(何が?ーー耳と尻尾がだ)
…あ、れ
痛みが…
……
……もげ、た?
(一周回ってもはや滑稽ともいえる光景。僅かに頭を上げて呆然とした調子で呟いた真の声にハッとして、彼の頭部と臀部に目を走らせる。異常は何もない。今の今までそこに異物が生えていたとは思えないほど、そこは「普段通り」だった)
(床に転げ落ちた耳を眺めていた真がおずおずと顔を上げる。自分もまた、視線を返す。なんとも言えない沈黙が場を満たす)
(やかて、体を起こそうとしたのだろうか。真はそろそろとした仕草で腕をほどくと、両手を床の上に置いて)
→