マスターさまの手……エヘへ。
きれいな手なのに、傷痕だらけ、ですね。
ゴッホの知らない時と地で、たくさんの戦いを……守るために傷を負ってきたのでしょう。
マスターさまは、魔術の心得も、体力も、ふつうの人とそう変わらないというのに……ただひたすらに、人理のために。
どうしようもないことだったと思うけれど……
あなたさまの手を見ていると、ゴッホは、すこしやりきれないきもちになるのです。
マスターさまのために、わたしは何ができるかな……
(絡めていた指にもう一方の片手を重ねてそっと撫でられる。
今にも壊れそうなものを扱うような、慈しむような手つきだ…)
指を絡める