え……だってこんな、おぞましいものに造られたサーヴァントなんて……
あ……いえ、マスターさま。
ゴッホ、ちゃんと納得しているのです。その言葉の本意を否定しているわけではありません。
あの虹色の夢の中で……マスターさまとキャプテンさま、みなさまのおかげで、わたし自身の名前……そして、在り方に折り合いはつきました。
……でも、それでも、ゴッホが本来、みなさまと肩を並べるなんて烏滸がましい──出来損ないだというのは変わらない事実だと思うのです。
──ああ、だいじょうぶです。
ご心配なさらないで。
今日のゴッホはすこしばかりポジティブ……
出来損ないと申しましても、なにも悪いことばかりではありません。
わたしは出来損ないゆえにみなさまの呼びかけに答えることができましたから。
ゴッホが完璧な存在であれば、自身が抱くこの葛藤も、相反する衝動も、そしてみなさまへのこの想いも、きっと生まれませんでした。
生前、ゴッホが愛したそういった人間らしい考えは、邪神にとって邪魔なモノでしかなかったでしょうから。
ウフフ……それにそれに、出来損ないゆえに完全を追い求める──これ、とっても芸術家らしい在り方だと思ってます。
常に向上、邁進…………
人間も芸術も、それらが織りなす歴史も変わり続けるもの。
ゴッホはもうヒトではありませんけど……それでもわたしは、ゴッホは、ヒトの良き隣人でありたい。
人理と共に在る者として、現状に甘んじず変わり続けていかなければ。
出来損ないじゃない