(台所から聞こえてくる音と香りに、煉獄さんが引戸からひょいと顔を出す。大袈裟に肩が跳ねてしまった)

千寿郎かと思ったが、よもや君だったか!
俺は料理はからっきし故、楽しみだな!

(慣れない料理と格闘したことで怪我をした手が恥ずかしく、慌てて包丁を置いて指先を隠す。まだ出来てないので外で待っていて欲しいと伝えると、不意ににこりと微笑まれた)

…すまないが手を借りるぞ!
傷になっては良くないから、これを塗らせて欲しい。

(隠していた手を取られてしまうと恥ずかしさに顔が熱くなり、ちらりと煉獄さんを見遣るととても穏やかな目をしていて喉が鳴る。小さな入れ物から軟膏を掬うと、傷のできた指先にそっと塗り込まれていく)

痛くはないだろうか。

…よし、これでいい!
これは胡蝶の軟膏だから、傷も残らないだろう。

(丁寧に両手に軟膏を塗り終えた煉獄さんがにこりと笑うと、腕捲りをする)



--さて、洗い物は俺に任せてくれ!
君の指に軟膏を塗ったのは俺だからな!
暫くは濡らさない方がいい。

…◯◯、頑張ってくれてありがとう。
君の手料理、楽しみだな!
慣れない料理をする